Baseball boy-73

昨日の遅い昼休み
「さあて、何を食べよっかな」
と青山の街に出ると、中二の息子からメールがあり
「ヤンキースが優勝した!!」
とあった。まだ右ヒザがわずかに痛いのも忘れ、小躍りした。

ボクや息子は、松井秀喜がいなくなったニューヨーク・ヤンキースを特別ヒイキにしていた訳ではない。そのチームには黒田という、今やエース級のピッチングを見せる日本人ピッチャーもいてそれも誇らしいけれども、何より、今シーズン途中の七月に、シアトル・マリナーズからヤンキースに電撃トレードしたイチローがそのチームにいるのである。ボクや息子が小躍りしたのはそれが理由である。

イチローというプレーヤーは、ずっとボクたちに夢を見せ続けてくれた稀に見るベースボール・プレーヤーである。日本のオリックス・ブルーウエーブ時代、七年連続首位打者、その間1994年には年間210安打という当時のプロ野球記録を打ち立て(当時はまだ130試合制であったから、実質の日本記録だとボクはおもっている)、そんなプロ野球でのウソみたいな活躍を跳び箱を跳ぶ前の踏み台みたいにして海を越えて日本人野手では初めてのメジャー・リーグに渡った。
2001年、マリナーズで一番ライトのレギュラーとしてチームの地区優勝に大貢献する。首位打者、盗塁王、新人王にMVPまでさらい、その後、十年連続シーズン200安打以上のメジャー記録、2004年にはメジャーのシーズン安打記録を抜く262本を記録。その間、2006年に初開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)と、2008年第二回大会にもジャパンの代表チームで先頭に立ってチームもファンも鼓舞し
「日本野球にはここ三十年は手も足も出ないと知らしめたい」
という、野球のルール・ブックの最初のページに載っている野球を行う目的
「相手より一点でも多く得点して勝つこと」
を地で行っているような、聴きようによっては野蛮な、しかしその目的を端的に表現している粗野で分かりやすい言葉を世界に発信した姿は、野暮な言い方だがカッコ良かった。決勝の延長戦で韓国の抑えのエース・イムから放ったセンター前への決勝タイムリーの映像を憶いだすのに、ビデオの再生は必要ないほどに脳裏に焼きついている。二塁から生還したのは、今ソフトバンク・ホークスに所属する内川だった。
あのときは泣いたなあ。


ボクと息子とは、イチローがメジャーのオールスター・ゲームで初のランニング・ホームランを放ってMVPを取ったあたりからその記憶が合致している。
(そういえば日本のブルーウエーブ時代のオールスター・ゲームで最終回、イチローは仰木監督の指名でマウンドに立ったこともあった。セ・リーグの野村監督は代打に自軍のストッパー高津を送って、確か三振でゲームセットだったように記憶しているが、代打を送られたのは松井秀喜であった。イチロー対松井の対決、見ておきたかった気もする)
有名なレーザー・ビームで一塁ランナーを三塁で刺すシーンは、ボクがあとで見せたのかどうだったか忘れたが、ともかく、日本の東京の国立という、世界のほとんどの人が知らない町で暮らしている中学二年生の野球少年は、イチローのことを知っていて、彼が所属するニューヨーク・ヤンキースというメジャーの野球チームを応援している。ボクもそうだ。
ベースボールの神様という言い方がメジャーにもあるのか知らないけれども、イチローに、最後に手にしてもらいたいのは、メジャー・リーグのワールド・チャンピオン・リングである。

昨日の昼過ぎに息子から
「ヤンキースが優勝した!!」
とメールをもらったけれども、明日行われるアメリカン・リーグのワイルド・カード、オリオールズ対レンジャーズの勝者と、三戦先勝のプレーオフを行ったあと、タイガースと、ビリー・ビーンGM率いるアスレチックスの勝者と四戦先勝のリーグ優勝を争うことになり、その戦いに勝ち抜かない限り、ナショナル・リーグとのワールド・シリーズには進めないというのだから、その道のりはえらいことだが、だからこそ夢がある。イチローが所属するヤンキースというチームがその頂点を争うワールド・シリーズに駒をすすめることが出来たなら、ボクはいくらカミさんから
「うるさい!」
と一喝されようが息子と小躍りしてハイタッチして、それもしワールド・チャンピオン・チームにでもなれば、それこそ大喜びで谷保の町を闊歩するであろう。

それにしてもそのあとの来春に準備されているWBCは、MLBのための見本市の様相を感じなくもない。
亜米利加国内では揃う有能な選手はもういないから、南アメリカのドミニカとか、キューバとか、アジアの日本、中国、韓国、台湾、はてはヨーロッパで幸いにして野球が盛んなイタリアとかフランスとかスペインから良いプレーヤーを選抜しようという意図が、つまりスカウティングの経費を安くして、興行的には大儲けしようというMLBの意図は何となく見えてきたが、こっちは国別の野球の世界一を競いたいだけなんだ。エンターテイメントに関してはぬかりのないお国柄だから心配はないだろうけれど、そういうシンプルな楽しみ方も忘れないで欲しい。

それにつけてもベースボールの世界一は、今のところメジャー・リーグのワールド・チャンピオン・チームに間違いない気がする。
その大きな勲章を、イチローに手にしてもらいたい訳だ。もう最後かも知れないチャンスなのである。





RCサクセッション
「ドカドカうるさいロックンロール・バンド」
http://www.youtube.com/watch?v=b1gU_fAcovM











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