ライヴハウス四谷コタンとの格闘-179

「酒ばかり飲んでいないでサッサと新曲のコード譜を送ってこんかい」

このところ毎日、このような脅迫めいたメールが朝昼晩に届く。送り主はバンド・メンバーのP太郎で、分かっちゃいるが、さすがに朝から晩まで酒ばかり飲んでいるのではなくて、ボクだって忙しいこともある。彼はボクが余程ヒマな日常を送って酒ばかり飲んでいるとおもっているフシがあるので困る。この際だから書いておこう。ボクにだって忙しいときはあるんだ。

次回10月15日(月)の四谷コタンのライヴではバンドで新曲を演る予定なので、P太郎がその曲のコード譜を早くよこせと言ってくるのは分かる。しかしこのところ何かに追い立てられているように所用が立て込んでいて、やれやれというヒマなく毎日を過ごしていた。何しろボクが自分からは決して足を向けない店でマイクを片手にビートルズ・ナンバーまで歌っていたほどであるから、その忙しさはボクの行動範囲を超えていたといえる。だから新曲のコード譜のことはいつも気になっていたが、カラオケをやりながらコード譜を書くほどボクは器用ではないので、そのことをそのままにしていた。しかし休日の今日、息子の運動会が雨天中止になったその時間を利用して大急ぎでコード譜を書きP太郎にファックスしておいたから、ようやく彼からの脅迫メールから一時解放されるだろう。

しかし安心はしていられない。今度のコタンでのライヴから、雄作バンドには池田というギタリストが参加する。彼は高校時代にボクとP太郎と荒井潔と共にバンドを組んでいたメンバーの一人で、二十歳過ぎから今時珍しい行方不明になっていたその男のことをボクたちは
「今ごろは東京湾にでも沈んでいるかも知れないなあ」
とか
「どこかの国で日本人を狙った犯罪組織にでも入っているんじゃないか」
とよく話しをしていたものだが、その池田が東京からほど近い町で無事に暮らしていることが判明しコンタクトにも成功。先日のコタンでのボクたちのライヴのときに会って確かに池田本人であることを確認、再会の祝い酒を飲んだまではよかったがその池田が
「今夜のお前たちのライヴでギターを弾いてやる」
と言い出したものだからボクたちは慌て
「おいおい、いくら何でも二十二年ぶりに会ったばかりですぐにライヴなんて出来るものか」
と説得を開始。高校時代の池田なら暴れだしかねない局面もあったが何とか説得に成功。
しかし
「次回ライヴからは一緒に演るぜえ」
という彼の言葉に断る理由も見当たらず
「それではこれだけの曲を練習しておくように」
とボクたちの数曲の音源とコード譜を渡してしまったから彼は次回ライヴにギターをぶら下げてコタンに来るだろう。だからたった一曲の新曲のコード譜が書けたことぐらいで喜んではいられない。ボクたちはまた、チョーキングがいつも半音高いギタリストと一緒に演奏しなければならないのだ。
そのことを悲観しているのではない。しかし楽観もしていられないので、スタジオに入って真面目に練習しようとおもっている。

休日には小三の息子の野球にも顔を出しながら、バンドの予定も増えていく。今おもうと高校時代というときには、何て無造作に時間があったのだろうとおもえてくるが、その時間をずい分もったいなく使ってきたというおもいも今はある。だからP太郎からの脅迫メールにも文句は言わず、出来ることだけ出来るときにやっていこうとおもっている。そうしてボク自身、池田が加わった雄作バンドのコタンでの次回ライヴを楽しみにしている。




"ライヴハウス四谷コタンとの格闘-179" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント