ライヴハウス四谷コタンとの格闘-39

2005年4月12日火曜日、つまり昨日、ボクは四谷コタンで稲野バンド、藤本すすむさん、緒方善久さんとライヴを行ったのであるが、この夜がとても楽しかったので、かいつまんで書いておく。

訳あって稲野バンドは稲野さん一人の出番となったが、リハーサルのとき稲野さんがボクに
「木村さんが許してくれればバックで弾くよ」
と声をかけてくれた。
「ボクのバックで」
ボクは小踊りした。
稲野さんはボクが1986年にコタンに出演するようになったときから大トリを張っていた大先輩で、なおかつ稲野さんのギターがボクは大好きである。
ボクは店長の木村さんに向きかえって言った。
「無理を承知のお願いがあるのですが」
木村さんは凄んだ。
「何だ、言ってみろ」
相変わらず人をビビらせることからことを始めようとする人だとおもったが、ボクはおもいきって言ってみた。
「えー、稲野さんがボクの最後の曲のバックでギターを弾いて下さるとおっしゃってくれているのですが、いかがなものでしょう」
木村さんは不敵な笑みを浮かべてボクを眺め、厨房にいる久保ちゃんにこう言った。
「桜井のとき、稲野が弾くから4チャンネル使えるようにしといてくれ」
ボクは小踊りした。

そうして、ボクは自分のステージに、稲野真人をゲストに迎えられることとなった。
開店前の打ち合わせでは、稲野さんはボクが最後に演る「ボクはただきみといる」で登場ということになっていたが、出番を待っているとき、稲野さんがボクにこう言った。
「その前に演るのは何」
「キクボーのブルースっていうスリーコードの曲です」
ボクが言うと稲野さんは言った。
「そこから入っちゃおうか」
ボクは小踊りした。

ボクのライヴはすすみ、いよいよ稲野さんを紹介するときがきた。
「今日はゲストがいます。稲野マサトオオ」
稲野さんは今日のトリであることを客席はみんな知っているので、客席はもうトリのステージが始まるのかという錯覚に陥り、大変な拍手が巻き起こる。しかし、残念ながらまだボクのステージであり、ボクは幸せなことに稲野さんと二曲共演した。

ボクは稲野さんと二曲演り、「稲野真人でしたあ」と叫んで引っ込んだけれども、トリの稲野さんはすぐにステージに戻っていくことになった。

この日もリハーサルを終えて本番までの時間、ボクはピヤシリにいた。隣りには木村さんがいて、カウンターの向こうにはピヤシリ店主がいる。木村さんがボクに言う。
「だからお前は馬鹿なんだよ。おもいの至らないことを無責任にブログに書くな」
「すみません」
店主が助け舟を出してくれる。
「いいんだよ、ブログなんて日記なんだから、お前さんの書きたいことを失礼のないように書けば」

本番が始まる時間になって、ピヤシリ店主がソワソワし始めた。
「どうしました」
「いや、俺が紹介した男がこれからコタンで出番なんでね」
「えっ、出番って、今日一番目の緒方さん」
「そうそう、前にお前さんにも話しただろ」
「失念していました。さっきリハのとき、話しして、ああ、関西の人ですねって話していたんですが、あれがその緒方さんか」
緒方善久さんは、ピヤシリの店主がたまたま四谷で知り合った関西出身のミュージシャンで、その縁で三ヶ月前からコタンに出演するようになった人である。

コタンに戻ると、緒方さんはラヴソングを歌っている。そのうたはひょっとしたら、ピヤシリ店主に捧げたうたかも知れない。ピヤシリ店主は、嬉しそうな顔でステージを見つめていた。

この夜のライヴがすべて終わり、出演者もお客様も店のスタッフもひっくるめて、ボクたちは飲んでいた。藤本さんが嬉しそうに稲野さんと話している。そうか、藤本すすむさんは稲野バンドよりも古くからコタンに出演していたのだとおもい出す。
みんながニコニコしていた。笑い声が鳴り響いている。そしてボクは酒を飲みながら、そんなコタンの喧騒の中で楽しくって仕方なかった。








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