桜井雄作のブログ

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<<   作成日時 : 2017/02/09 23:09   >>

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去年の六月に三十年近く務めた会社を辞めて、それまでまるで知らなかった業種の仕事に就いてから、ボクはその新しい環境の仕事先や出入りを始めた飲食店その他の場所で、ボクは自分のことを語るのを止めた。それは、そこにいるほとんどのそこの住民がそうしていると感じたからだ。誰がどんな家庭環境で暮らし、これまでどんなことをしてきたのか、あるいは何をおもって生きてきたのかなどとは関係を一切持たず、ひたすら責任を回避しながら逃げ込む先の洞穴のことばかり気にしているところで、ボクが例えば身の上話しを面白可笑しくきいてもらおうとしてもナンセンスである。そういう刺激はかえって彼らの反感を買い
「黙っていろ」
と言われる。
「何でですか」
と言えば
「口答えするのか」
と言われるから
「そうではなくて、ただ確認をしたいだけです」
と言うと
「この役立たずめ」
の一言で片付けられてしまう。だからボクは
「ああ、アナタは大層深淵なるお考えの持ち主なのですね」
と無駄を承知で皮肉を言うと、どういうのかそういう真理には本気で頭に来たぞこの野郎という態度をあらわにして職権を振りかざし、ボクの大事な時間に余計な仕事を押しつけてくる。逆らえばボクはクビだろう。だからボクはべロを出しながらそれに従う。
「こうしとけばよろしいでしょうか」
彼がよしと言うまで、ボクは何度も無駄な仕事を繰り返す。
一体彼に代表されるその実体が、何を目的に存在しているのか知らないけれど、ボクは帰り道のビールのことを考えるのが楽しい。


ボクがそこで働いているのは生活のためだ。
若かったボクを初めて雇ってくれた社長は昔
「いいか。良いことばかりはありゃしないから、そういうときには子供たちの顔を憶いだして我慢することだ」
とよくきかせてくれた。そのときにはよく分からなかったけれど、歳をとると分かるようになることがたくさんある。


先日、仕事先でよく顔を会わすおじいさんがボクを見つけて、何やらエアー・ギターみたいな素振りをしながら近づいてきて
「桜井さん、何だアンタ、フォーク・シンガーだったんだね」
と言う。
「へっ」
ボクが驚いて言うとおじいさんは
「どんなの。おもい出の渚とか、そういうの」
と言うからボクは可笑しくて
「よくご存知ですね」
と言ったらおじいさんは
「いやほら、今はインターネットの時代でしょ。それくらい知ってるよお」
と言うので、ボクは可笑しくて大笑いした。




ARMS CONCERT 1983より
https://www.youtube.com/watch?v=cdK-h0gCqno
「グッドナイト・アイリーン」











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